羽毛の代わりに使われるウールダウン・ラバラン
1. 出会い
羽毛は暖かいですが、採取する時その殆んどの鳥を※屠殺しています。
弊社は長年羽毛ふとんを販売してきましたが、このような観点から羽毛のダウンに匹敵する暖かさを出せる自然素材でかつ、採取する動物と長く共存出来る暖かく軽い素材を探し求めてきました。
羊毛ウールを含め、繊維として使用されている入手可能なあらゆる動物の毛を試しましたが、重すぎたり、暖かくなかったり…1番近いのは羊毛でしたが、重すぎてダメでした。
そんな中、世界一SDGSや環境にうるさいEUで安全なウールがダウンの代わりに使われていると知り入手したところ、驚きました。
薄く軽く柔らかく暖かい。
ウールの機能性を全く落とさずに、トウモロコシを極少量使用して、羽毛ダウンのような使い方を実現させていたのです。
私達はこの素材を、ウールダウンと呼ぶようにしています。
※ハーベスティング、ライブハンドプラッキングを除く
2. ウールダウン・ラバランとはどのような素材か?
アルプスの少女ハイジで有名なスイスのアルプス。
スイスウールは数百年間変わらず、アルプスの山間部で移動させながら百頭前後の羊を飼う小規模農家の手で生まれてきます。
寒いためメリノウールより繊維の太いスイスウールダウンですが、少しずつメリノ種と混ざり柔らかくなりました。主にベッドの中材などに使われているこの素材を100年以上同じやり方で綿にしてきたのがドイツのバウワーフリストッフェ社です。
彼らのやり方は実にシンプルです。
アルプスの自然が育んだ大量の水と環境に全く負荷を与えない範囲の極々少量の中性洗剤で何度も丁寧に洗い、糸の太さの揃っている羊毛を美しく仕上げます。それにトウモロコシ100%由来の樹脂を極々若干量使い成形性を出して、暖かさと軽さを両立させているのです。
もちろんエコテックス認証を受けています。
多岐にわたる採用実績が示す価値
EUでは大手スポーツアパレル・アウトドア・アパレルなど数十社が採用し、素材として広く普及しています。日本でも大手アパレル数社がダウンジャケットのダウンの代わりに使用するなどの取り組みが始まっています。
3. 地球に優しい製法
羊は牧草地を歩き回るため、毛に植物などの異物が沢山付着してしまいます。流通する多くの羊毛は、異物を完全に取り除くため化炭加工という処理を行っています。
化炭加工とは、希硫酸や過酸化水素水など多くの化学薬品を使い異物を完全に取り除く処理のことです。化炭処理はウールを酸やアルカリ、高温にさらす処理ですので、当然ウールは傷んでしまいます。また、大量の化学薬品を使用するため、環境汚染への影響も甚大です。
lavalanは、アルプスの自然が育んだ水と少量の中性洗剤で洗浄するため、地球環境に優しい製品です。
4.羊に優しい製法
糞尿が付き、ウジが発生しやすい羊の臀部の皮膚や肉を切除することをミュールジングと言います。
特に毛をより多く採取するために品種改良されたメリノ種は体にしわがあり、ハエウジ症にかかりやすいです。
処置後、臀部の皮膚はなめらかに生え代わるため、病気を防ぐことができますが、麻酔も処置後の傷の手当もなしに行われるため、羊が痛みに苦しむことから、動物愛護団体が反対してきました。
現在はイギリスやドイツをはじめ、ニュージーランドでもミュールジングを禁止しています。
ラバランウールは、ノンミュールジングウールです。
5. 天然のハイテク繊維
水分管理と通気性
『通気性』の科学用語は湿気の緩衝を意味しますが、これはウール繊維を構成するエピキューティクルにある小さな細孔を、蒸気が通過することで可能になります。lavalanウールダウンは自重の36%まで水蒸気を吸収することができ、これによりたいへん通気性がよくなり不快な湿り気を感じにくくなります。
温度調整
ウールダウンは、類似の組織と目付の他の織物と比較して、優れた断熱性と通気性を持っています。この断熱能力のためウール=暖かさと同義になりがちですが、ウールダウンは生きた繊維でもあるため冷却効果があるとも言えます。発汗は、一般的に体内の体温調節に役立ち、時に皮膚の表面に冷却或いは加熱効果をもたらします。しかし、ウール繊維が持つ蒸気移動のプロセスは、他の繊維と比べてより高く強いレベルで機能し、必要に応じ自然に必要な身体の保温と冷却を促すため、他の繊維に比べはるかに優れた素材と言えるでしょう。
インスレーション
実験室の試験で示されているように、ウールの断熱値は、特定の期間に渡って水蒸気を吸収する時、合成繊維よりもはるかに優れています。湿気を取り込むと水の水素結合が破壊され、ウールの分子と化学反応して発熱します。
臭気抵抗
人間の汗は無臭です。私たちが不快さを感じるのは、細菌が寝具の上で成長し始めると同時に臭いを発生します。ウール繊維は水分を吸い取って臭いの原因となる細菌を繁殖させません。暑い夜でも快適に過ごすことができ、臭いの心配はありません。
その他の利点
上記の高機能な利点の他には、ウール繊維はしわにならず自然な形を保つことがあります。ウール繊維は非常に耐久性があり、30,000回以上曲げることができます。また、ウール繊維に毒性はなく、いかなる方法でも健康に害を及ぼすこともありません。さらに、帯電防止性でもあるため、糸くずなどが付着しにくいです。